近年、ネット通販の普及や企業の物流ニーズの多様化に伴い、軽貨物運送の需要が高まっています。軽貨物事業は、比較的少ない初期費用で開業できることから、独立開業を目指す方にとって魅力的な選択肢の一つとなっています。
軽貨物事業を始めるには、必要な資格や許可、手続きなど、事前に知っておくべきことがたくさんあります。
そこで、この記事では、軽貨物事業に必要な資格・許可・手続きについて、詳しく解説していきます。
軽貨物事業とは?
軽貨物事業とは、軽自動車を使用して貨物を運送する事業のことです。
具体的には、宅配便や企業間の配送、スポット便、引っ越しなど、様々な貨物輸送サービスを提供することができます。
軽貨物事業の特徴としては、以下の点が挙げられます。
小回りが利く:軽自動車は、普通自動車に比べて小回りが利くため、狭い道や都市部での配送に適しています。
初期費用が安い:軽自動車は、普通自動車に比べて車両価格や維持費が安く、開業時の初期費用を抑えることができます。
需要が高い:ネット通販の普及や企業の物流ニーズの多様化に伴い、軽貨物運送の需要は年々増加しています。
1台の車両で開業可能:軽貨物運送業に用いる自動車は種類がありますが、いずれかの自動車が1両あれば届出が可能です 。
軽貨物事業に必要な資格・許可
軽貨物事業を始めるために必要な資格や許可は、基本的にはありません。
普通自動車免許があれば、誰でも軽貨物事業を始めることができます。
ただし、事業の規模や内容によっては、以下の資格や許可を取得しておくと、事業を有利に進めることができます 。
運行管理者資格:貨物自動車運送事業法に基づき、一定規模以上の貨物自動車運送事業を行う場合は、運行管理者を選任することが義務付けられています。
危険物取扱者資格:危険物を運送する場合は、危険物取扱者資格が必要です。
フォークリフト運転技能講習:フォークリフトを使用して荷物の積み下ろしを行う場合は、フォークリフト運転技能講習修了証が必要です。
軽貨物事業の開業手続き
軽貨物事業を開業するには、以下の手続きが必要です。
1. 運輸支局への届出
軽貨物事業を始めるには、営業所を管轄する運輸支局に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を提出する必要があります 。
届出に必要な書類は、以下の通りです 。
書類名 | 説明 | 備考 |
貨物軽自動車運送事業経営届出書 | 軽貨物事業の経営に関する基本的な情報を記載した書類 | 正・控えの2部必要 |
運賃料金設定(変更)届出書 | 運賃料金の設定または変更を届出する書類 | 正・控えの2部必要 |
事業用自動車等連絡書 | 運輸支局と軽自動車検査協会との間で、車両情報などを共有するための書類 | 2部必要 |
車検証の写し | 事業に使用する車両の車検証の写し | 新車の場合は、完成検査証写し |
運賃料金表 | 荷主に対して提示する運賃料金表 |
届出は、営業所の所在地を管轄する運輸支局で行います。
届出が受理されると、「事業用自動車等連絡書」が交付されます。
この「事業用自動車等連絡書」は、運輸支局に提出した書類の内容を軽自動車検査協会に伝える役割を果たします 。
貨物軽自動車運送事業経営届出書の作成から運輸支局への届出代行、軽自動車検査協会での黒ナンバー取得までを代行業者に依頼した場合、費用は5万円ほどかかるようです(埼玉運輸支局の場合)。
2. 軽自動車検査協会でのナンバープレートの変更
軽貨物事業に使用する車両は、軽自動車検査協会で「黒ナンバー」を取得する必要があります 2。
ナンバープレートの変更に必要な書類は、以下の通りです 3。
書類名 | 説明 | 備考 |
事業用自動車等連絡書 | 運輸支局で交付された連絡書 | 原本が必要 |
車検証原本 | 事業に使用する車両の車検証 | |
印鑑証明書、実印 | 申請者が本人であることを証明する書類 | |
使用中の黄色のナンバープレート | 軽自動車検査協会にて黒のナンバープレートが交付されるため、不要な黄色ナンバープレートは返却する必要があります | 前後2枚 |
住民票 | 個人事業主で、車検証の所有者が自分以外の場合 | |
履歴事項全部証明書 | 法人で、車検証の所有者が自分以外の場合 |
ナンバープレートの変更手続きは、軽自動車検査協会で行います。
手続きが完了すると、「黒ナンバー」が交付されます。
3. 税務署への開業届出
軽貨物事業を開業した場合は、開業から1か月以内に税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
開業届出は、税務署または国税庁のウェブサイトで行うことができます。
軽貨物事業の税金
軽貨物事業を行う場合は、以下の税金を納める必要があります。
所得税:事業で得た所得に対して課税される税金です。
消費税:商品の販売やサービスの提供などに対して課税される税金です。
自動車税:事業に使用する車両に対して課税される税金です。
軽油引取税:軽油を使用する車両に対して課税される税金です。
軽貨物事業の保険
軽貨物事業を行う場合は、以下の保険に加入する必要があります。
自賠責保険:自動車を運行する際に、法律で加入が義務付けられている保険です。
任意保険:自賠責保険では補償されない損害を補償する保険です。
軽貨物運送は、業務で起こる事故に対し、万一の損害賠償に備えて任意保険に加入しておく必要があります 。
自家用車よりも保険料が高くなりやすいですが、一日中車に乗っていることが多いので、乗用車以上にしっかりとした内容となっていることが望まれます 。
軽貨物事業の注意点
軽貨物事業を始めるにあたって、注意すべき点は以下の通りです。
事業計画: 軽貨物事業を始める前に、事業計画をしっかりと立てることが重要です。ターゲットとする顧客層、提供するサービス内容、運賃料金、収支計画などを明確にしておきましょう。
車両の維持管理: 軽貨物事業では、車両が重要な資産となります。定期的な点検や整備を行い、車両を良好な状態に保つことが大切です。
安全運転: 軽貨物運送は、交通事故のリスクが伴います。常に安全運転を心がけ、交通ルールを遵守しましょう。
顧客とのコミュニケーション: 軽貨物事業は、顧客との信頼関係が重要です。荷主の要望を丁寧に聞き取り、円滑なコミュニケーションを図るようにしましょう。
法令遵守: 軽貨物事業は、貨物自動車運送事業法などの法令に準拠して行う必要があります。法令を遵守し、適切な事業運営を行うようにしましょう。
車庫: 原則として車庫は営業所に併設することとなっていますが、併設できない場合は営業所からの距離が2km以内で、事業で使用する車両すべてが収容できることとなっています 。
休憩・睡眠施設: 運送事業において営業所に併設されることとされる休憩・睡眠施設は、個人で始めるのであれば自宅の一室を指定することで可能です 。
損害賠償能力: 損害賠償能力とは、万が一事故を起こした場合に十分に損害賠償できる能力のことです。リスクを抑えるためにも自賠責保険の加入だけでなく、賠責保険を超える自損害賠償をカバーするため一般自動車損害保険(任意保険)の締結が強く推奨されています 。
運送約款:貨物事業では軽自動車であっても、運送料金や運送業務における責任の範囲、事故が起きた際の措置などを定めた約款を作成する必要があります 。荷主が不利益を被る恐れがないような規定にする必要があります。ただし、国土交通省が定めた標準約款を使用する場合、提出は不要です。
運送料金表:適正な運送料金を定めた運送料金表も必要です。料金の目安は各運輸支局に参考となる見本が示されています 。
まとめ
軽貨物事業は、参入障壁が低く、独立開業を目指す方にとって魅力的なビジネスです。しかし、事業を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。
この記事では、軽貨物事業を始めるにあたって必要な資格・許可、開業手続き、税金、保険、注意点などを詳しく解説しました。
特に、開業手続きには、運輸支局への届出、軽自動車検査協会でのナンバープレートの変更、税務署への開業届出など、いくつかのステップがあり、それぞれに必要な書類や手続きが異なります。
また、事業を始める前に、車庫や休憩・睡眠施設、運送約款、運送料金表などについても考慮する必要があります。
軽貨物事業をスムーズにスタートさせ、成功へと導くために、この記事で紹介した情報を参考にして、必要な準備をしっかりと行いましょう。を参考にして、必要な準備をしっかりと行いましょう。
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